それから私は周りが驚くほど荒れた。
滑り止めを受けていなかったので、とりあえず第二次募集をしている学校を受験して受かったけれど、嬉しさなんて微塵もない。
聖学に落ちたことでプライドも失って、卒業まで誰とも会話をすることなく過ごした。
「友香、待ってよ」
自分の理想とかけ離れている高校に通うようになって、しばらく経った頃。
街中で友香を見かけた。
聖学のエンブレムをつけて、真っ白な制服のスカートを揺らしながら、新しい友達と楽しそうにしていた。
自暴自棄になって、暗い学校生活を送っている自分とは大違いだ。
友香とすれ違う時に目が合った。
お互いに素通りして、立ち止まって振り向いたのは私のほう。
これはあとから知った話だけど、一緒にいった合格祈願の神社で友香は絵馬を書いていたらしい。
【亜子と聖学に合格して、笑い合えますように】
一番目立つところにピンクのお守りを添えて、下げられていたそうだ。
きっと私は、いろいろなことを間違えていた。
でも今さら気づいても取り戻すことはできない。
私は友香の後ろ姿を見ながら、ひとりで歩きだした――。