バカにするように口ずさんでいるのは私が歌っていた鼻歌だった。そんなまつりの態度にギリギリと奥歯を噛んだ。
「不合格にしてって頼んだでしょ! どういうことなのよ!」
急になにかに向かって喋りはじめる私を見て、みんなが引いていた。
「えー私はちゃんと不合格にしたよ。だって友香は滑り止めの高校に落ちたもん」
「……は?」
「あれ? 違ったの? だって私、聖女学園だとは言われていないよ。本当に叶えてほしい望みなら正確に願ってくれなくちゃ」
「ふざけんな……っ!!」
まつりに怒鳴り散らす私のことを心配した友香が近寄ってきた。
「あ、亜子。どうしたの? 大丈夫……?」
周りが変な目で見ている。
スマホを向けている。
笑っている。
なんで、私がこんな扱いをされなきゃいけないの?
順調だったはずなのに。
私は憧れの聖学に受かって、憧れ続けられる人になるはずだったのに……。
「……あんたのせいだ。友香が聖学なんて目指すから私の調子が狂った。私の後ろで目立たない存在だったのに。一生私の引き立て役をやっていればよかったのに、こんなのありえない! 全部全部あんたのせいだ! あんたが落ちればよかったんだ!!」
息継ぎも忘れて言い放った。
完全に我を忘れていた。頭に血がのぼるとはこのことだ。



