……ガンッ!
イライラが止まらなくて、私は道端にあった交通安全の看板を蹴った。
周りの人たちがじろじろ見ていたけれど、今はそんなのどうだっていい。
「本当にムカつく」
友香さえいなければ、こんなに気持ちが荒れることはなかった。
受験はメンタルが大切だっていうのに、なんでこの時期にこんなに乱されなきゃいけないの?
「友香を置いてきちゃってよかったの?」
もちろんまつりは私の後を憑いてきていた。
「いいよ、別に。あんなやつ」
友香の気持ちを聞いて、今までしてきたことを反省したっていうのに、それさえも苛立ちで消えてしまった。
もう不器用を理由にしたずる賢い性格にはうんざりだ。
と、その時。頭にある願いが浮かんだ。
黒い感情はこの瞬間にもどんどん私の中で育っていく。
「ねえ、まつり」
たとえ思い浮かんでも、これだけは可哀想だから願わないって決めていたこと。
でも私の心のブレーキを壊したのは友香のほうだ。
「友香の受験を失敗させて。絶対にあいつを不合格にしてよ」
もう友香なんてどうでもいい。
邪魔な存在は消す。
それによって友香の将来が左右されたって、私には関係ないことだ。
「わかった。亜子の願いならなんでも叶えてあげる」
どこかで甘い香りがした。
それはまつりと出逢った時に嗅いだマリーゴールドの匂い。
花言葉は嫉妬。
私のことをモヤモヤさせる友香なんて、泣いて不幸になればいいんだ。



