学力の神様がいるという神社だけあって、合格祈願のお守りは数種類あった。
「あの、ピンク色のお守りはありますか?」
私のほうが前にいたけれど、友香がすかさず売り場の巫女さんに聞いた。
「はい。ございます」と、ピンク色のお守りを出してもらって友香がひとつ受け取る。
「私もほしいんですけど」
「申し訳ありません。ピンク色のお守りは今お渡ししたもので最後になります」
「……え」
たしかにお守りがあった場所には品切れの札がすぐに置かれてしまっていた。
「他の合格祈願ならご用意がありますよ」
同じ神社のお守りならご利益は一緒かもしれないけれど、私も買うならピンク色のがいい。
チラッと友香のほうを見ると、すでにお会計を済ませて袋に入れてもらっていた。
……なんで。
静まっていたはずの苛立ちが再び湧いてくる。
「え、品切れ? 数量限定ならもっと早く来たらよかったね」
友香は自分が買えたことで安心したのか、あっけらかんとしていた。
「亜子はどうする? あっちの売り場にも別のものがあるみたいだけど」
は? なにそれ。
そもそも私のほうが前にいたし、こういう場合は公平にじゃんけんとかで決めるんじゃないの?
ああ、やっぱりダメだ。
友香のことはもう生理的に無理っていうか、いちいち勘に障る。
神社も一緒になんて来なきゃよかった。
「いらない。もう帰る」
「え、あ、亜子……」
これ以上、友香と同じ空気を吸っていたくなくて、私は足早に神社を出た。



