私は友香を連れて自宅に向かった。
ひとつのテーブルを分け合うように向かい合わせで座り、すぐに私は友香に問題を出した。
「どうしたの? シャーペンが動いてないよ?」
「え、う、うん……」
友香は問題を見つめたまま固まっている。
『友香の勉強を不得意にしてほしい』
実は先ほど私は、隙を見てまつりにこう願っていた。
本当に実行できるのか心配だったけれど、友香の学力は勉強が不得意だった頃に戻り、今は基礎の問題でさえ頭を抱えている。
「これそんなに難しくないやつだよ?」
「そうなんだけど……」
友香はいくら考えても答えを見つけることができなかった。
こうやって努力が一瞬で水の泡になってしまうんだから、まつりの力は強力だ。同時に恐ろしいものでもあると思う。
もしもまつりが敵になって、自分が貶められてしまう側になってしまったらと考えると背筋が凍る。
でも、もっと怖いのは……。
「最近、調子よく成績が上がってたのにどうしたんだろうね?」
こんなことを平然と言ってしまう私だ。
まさか自分の心にこんな悪魔がいたなんて知らなかった。
「こんなところで躓いてたら聖学に受かれないよ。たしか友香は滑り止めの高校も受けるんだよね? 聖学がダメでも、そっちがあるから問題ないか」
友香が悔しそうに眉毛を下げていた。
きっと私はなにもできない友香の上にいることで優越感に浸っていた。
だから友香が私を追い越すことは許さない。
ずっと私を見上げるだけの位置にいればいいのだ。



