激しく威嚇しているクラクションの音。忙しなく行き交う車のせいで空気は濁っていた。
ここはなんでも願いを叶えてくれる幽霊がいるという、四番目の交差点。
うちの学校でもこの交差点のことは有名で、街の都市伝説になっているほどだ。
けれど、呼び出したら呪われた、会った瞬間に命を取られるなんて怖い噂もあるので誰も試そうとはしない。
私は不気味な交差点の前に立って深呼吸をした。
腕時計を確認すると時刻は午後六時。
空は灰色がかった褐色になっていて、まさに魔物でも出てきそうな逢魔が時だった。
ゆっくりと青信号の横断歩道が点滅しはじめる。
鼓動の音と同じようにカチカチと光る回数を数えて、四回目の点滅の時に、私は小さく心で呼び掛けた。
〝きみに会いたい〟
すると、風に乗ってふわりと甘い匂いがした。
香りを辿ると、電柱の下に置かれている花を見つめている女の子がいた。
「ねえ、お供えって言ったら菊の花なのに、マリーゴールドを置いていく人がいるなんて常識知らずだと思わない?」
どうやら甘い匂いはこの花からだったようだ。
こんなところに花が置いてあったなんて気づかなかった。
そもそもこの女の子はいつからここにいたんだろう。私が交差点に来た時にはいなかったはずだけど。



