そして中学最後の三者面談を終えて、みんなそれぞれの受験校が決定する11月。
私は久しぶりに友香と一緒に帰っていた。
「え、家庭教師?」
歩きながら自分の大きな声が響く。
「家庭教師って言っても親戚の人だよ。お母さんがうちは塾に通わせる余裕がないことを話したら、頭のいいお兄さんが勉強を見てくれることになったんだ」
「……へ、へえ」
「そのお兄さんね、東大卒なんだって! そんな人が自分の親戚にいるなんてビックリだよ」
最近友香と勉強をしてないから分からないけれど、今日担任と話していたところを見かけた。
なにやら成績について褒められているようだった。
「亜子は今どんな感じ?」
余裕にも見えてくる友香の顔。左腕には私とお揃いの時計をしていて、なんだか成長した友香が綺麗に見えた。
「ど、どんな感じって、別に普通だよ」
なんで私が歯切れ悪く答えなきゃいけないんだろう。
なにかが崩れていく。
なにかが今までどおりにはいかない。
私は唇をぎゅっと噛んだ。
「あーもうっ!」
その日の夜。私はクッションに顔を埋めてジタバタともがいていた。
友香と別れたあと塾に行ったけれど、集中してないと怒られて、挙げ句の果てに先週やった模擬テストの成績が下がっていた。
この時期に下がるなんてあってはならない。
しまいには「志望校を変えるなら今だぞ」なんて言われてしまって、悔しくて仕方ない。
聖学に通うことは私の夢。
それ以外の高校なんて考えられないし、今さら周りにも言えない。
予定ではすでに受験勉強も佳境に入って、胸を張って来月には願書を提出するはずだったのに……どこから狂ってしまったんだろうか。
そんな焦りを抱えたまま学校では期末テストがはじまった。内申点に大きく関わってくる大切なテストだ。
なのに、なのに……。



