「試験内容は毎年変わるんだよ。何年も前のノートを参考にしたって意味ないよ」
「でも受験は傾向と対策が大切でしょ?」
……そんなの言われなくても分かってるし。
なんでだろう。友香の努力が実って自信に繋がるたびに、私はモヤモヤとしてしまう。
「あ、図書室が落ち着かないなら亜子の家でもいいよ。どのみち下校時間の六時半には鍵が閉められちゃうし、移動する時間を考えたら……」
「私にだって都合があるよ」
「え、あ、そうだよね。ごめん……」
前はもっと謙虚だったのに、最近の友香は図々しいというか、塾以外の時間は全部自分に勉強を教えてくれと言わんばかりに私の気持ちを聞いてはくれない。
ずっと一緒に勉強してるから、ひとりで復習する時間もないし、なにより友香の成績が上がることで、私は気が散って集中できない。
「あのさ、これからは別々に勉強しない?」
本番まで四か月を切っているし、私も追い込み作業を始めないとまずい。
「……やっぱり私、邪魔になってた?」
別に邪険にしたつもりはないのに、まるで私が悪者みたいな言い方をされてしまった。
「邪魔とかじゃないって。でも友香も自分の力でやってみたほうがいいよ」
「……自分の力。そうだよね。自分でやることも必要だよね」
私の言葉を前向きに受け取った友香はその日以降、うちには来なくなった。



