西校舎の4階の空き教室へと向かう廊下。
人通りのない空間で、私が歩く度ローファーのコツコツ鳴る音が響いた。
お目当ての教室の前まで行くと、私は大きく深呼吸をして、ガラッと扉を開けた。
「おはようっ、弥くん!」
全開にしてある窓のすぐ下に並べられた机。
その上には、風を含んで膨らんだカーテンの中に入るようにして横になっている弥くん。
弥くんが私の声で起き上がると、朝の太陽の光に照らされてカーテンにシルエットができた。
そして、私と彼の間のカーテンに手がかかると、
「朝からうるさい。」
一気にカーテンがひかれるとともに、ちょっとしかめっ面の弥くんが登場した。
「なんで毎朝来んの。」
「弥くんに会いたいから。」
「意味わかんない。」
そう言うと弥くんは机の上から降りて、鞄を持ち教室を出ていこうとしたから私も後に続いた。