｢そりゃ、なるよ。もう既にドキドキして酸素が足りません……！｣
｢……は。なにそれ｣
｢だって……そうだもん。白坂くんの隣歩いてるだけで、もう心臓がすごいんだから！｣
それはもう痛いくらいだし、自分でも鎮まれって思っても、意思に反する一方だ。
涼太以外の男の子に免疫がないだけかもしれないけど。
｢やめてくんない？ そういうこと言うの｣
｢白坂くんが、キスとか……言うから｣
｢ホント水瀬って、いつも絶対俺より上いくよね｣
｢私が、上にいくって？｣
首を傾げると、今度は白坂くんが目を逸らした。
｢……だから。構いたくさせんのも、もっと好きにさせんのも、お前は自由自在で天才かよってことだよ｣
はぁっ……と溜め息をつくと、ミルクティー色の髪をくしゃりと握った。
