「てか、うまくないって何?」
「だ……だって、白坂くん前に言ってたじゃん。あの先輩に、キスうまそうって……私、そんなの無理だし……」
焦りすぎた私が必死に口を動かすと、白坂くんがフッと口角を上げだ。
「うまくなるよ」
「えっ」
「何回もしてれば慣れるって。それにその時は、俺に甘えてればいいから」
「なっ……!? てか、まだするって言ってない!」
「俺も先に謝っておくけど、酸素足んなくなったらごめんね? たぶん俺夢中だと思うから」
「っ、」
瞬く間に顔が熱くなる。
そんなこと聞いてないって!
……とも言えず、白坂くんの視線から逃げるように俯くしかなかった。
白坂くんは絶対わざと言ってるんだろう。
「顔真っ赤だね、水瀬」
そんな私とは裏腹に、白坂くんは余裕たっぷりで、まるでからかうみたいな口調だ。



