窓の外を見ている女子がなにやら騒がしい。
「すごい髪」「誰か探してる?」とヒソヒソ話している声が聞こえてきた。
何事かと思い私も窓に近寄ろうとしたのだけど、
「水瀬、帰ろ?」
白坂くんが当たり前のようにやってきた。
「え……と、でも、白坂くんと帰ったら目立っちゃうって言うか」
「なんか困ることあんの?」
「困るよ……っ、だって白坂くんはすごくモテるし、それに先輩とかも白坂くんのことが好──」
……と、こそへ。
廊下を通る涼太がこっちを見てきた。
ゲッ……。
隣には若宮さんがいて、勝ち誇ったかのように涼太が舌を出した。
なっ、なによあれ!?
「お前、どこ見てんだよ」
「……んっ!」
突然、よそ見をしていた私の頬を、白坂くんが両手で抑え込む。
「目の前にいんの、俺でしょ?」
微かに声が低くなった白坂くんに驚いた。
無理やり自分の方へと向かせると、距離を埋めてくる。



