「勝てるかな……」
ドキドキして、それを悟られないようにそんなことを言ったけど。
「負けてもいいから、ずっと隣にいなよ」
ね?と、声を潜めて囁く白坂くん。
赤面する私の前髪を手で払うと、やっぱり小さく笑ったのだった。
……もうっ、白坂くんってば絶対わざとだ。
「負けるわけにいかないよ……っ」
「はいはい」
精一杯の反論も白坂くんには空振り。
目のやり場に困っていたその時、澪ちゃんと鷹村くんが乗った浮き輪がぷかぷか隣へと流れてきた。
「……な、なに見てんのよ?」
澪ちゃんが向かい合うようにして座る鷹村くんを見やる。



