「澪ちゃん……っ! ちょっと!」
「なに? 意義は認めないわよ?」
やる気満々だな……。
「だって、こんな浮き輪に乗ったら密着しちゃうじゃん!」
「って言われても、これふたり乗りよ?」
「……」
気にしてほしいのはそこじゃない……。
私の意見を汲み取ってもらえるわけもなく、流れるプールでの勝負が開幕した。
「あの監視員が立ってるところがゴールよ!先についた方が勝ちってことね!」
「え、もし同じタイミングでゴールしたら?」
質問すると澪ちゃんは得意気になる。
すんごいドヤ顔だ……。
「ふふん! この日のために買っておいたのよ。アマゾンで、このストップウォッチをね! 」
もちろん防水らしい。
どんだけ楽しみにしてたのよ……。
子供か。
ま、まぁ、可愛いからいいけどさ。



