ん? ってことは………
「涼太……! 涼太も知ってたの!?」
「……っ、なんだよ、いきなり! てか、お前が気づかないのが悪いだろ! 桜子さんの苗字が白坂って……」
百合さんからハンカチを受け取り、怪我を負った場所を押さえている。
「いやだって……お母さんも私も、桜子さん桜子さんって呼んでたし……」
苗字をそこまで気にしてなかった。
それに、保存容器を返す時も、桜子さんのお家はペンキ塗りのため養生シートがかかってたから表札は見えなかったし……。
「なによ……っ、そもそも涼太だって、白坂くんのこと知っていたのに言わなかったじゃん!」
「だ、だから……それは、言えなかったんだって!」
私は涼太をじーっと見つめる。



