「改めまして、わたしは白坂百合。いつも母からあなたのことを聞いてるわ」
「わ、私のこと……ですか?」
「ええ。あ、そうそう。それに一度私の部屋にも来ているわよね? エントランスで見かけたのよ、凪とエレベーターに乗るところを」
…………部屋?
ちょっ、まさか……。
私が遊びに行った部屋って……。
「お姉さんのお家だったんですか!?」
あのマンション!!
「そうよ? 凪は我がもの顔で使ってたけど、あそこはわたしの部屋。実家の方は、剣崎達にも目をつけられていたからね」
どうりでひとり暮らしって聞いていた割には、誰か住んでいるような気配がしたわけだ……。
「それに、母って……まさか……」
「よくあなたのお宅におすそ分けに行くでしょう? 母がいつも美味しいって言ってくれるって、喜んでいたわ」
ちょっと待って………!?
「桜子さんって……白坂くんのお母さん!?」
「え? 凪、あんたまだ話してなかったの?」
思い返せば、桜子さんの話をした時も「へぇ」とか微妙な返答だったような……。



