「……元凶はお前だろ。元姫とか呼ばれてたじゃねぇか」
「もう成人済みだし、姫なんて呼ばれる年じゃないのよ? それにわたしは昔ちょっぴり喧嘩っぱやかっただけだもの。だから二度とこんなことさせないで、凪」
喧嘩っぱやい……。
こんなに綺麗なのに、相当強いって鷹村くんからも聞いていたけど、未だに信じられない。
「あーーっ! もしかして……私が白坂くんを見た最初の夜、黒い車に乗っていったのは……」
「それわたしよ? 警察と一緒に剣崎を追っていたの。まぁ、バイクで逃げられちゃったのだけどね?」
ってことは、鷹村くんの読み通り、本当に水面下で動いたんだ。
「言ってくれればよかったのに……っ」
白坂くんってば!
私が白坂くんを見上げると、不服そうに顔を逸らした。
「そうよ。素直にわたしに連絡すればよかったのに、無視しちゃって!」
「うるせぇよ……」
「うるさいじゃないでしょう? この通り、地獄を見ることになったじゃないの。意地っ張りなんだから」
こらっと、白坂くんのおでこを小突いた。
そして百合さんは、くるんっと私に向き直る。



