「鬼神の総長様は、もっと威厳に満ちていたのだけど。現在はずいぶん落ちぶれたものね? トップが悪名高い男じゃ、いずれ潰れて消えてしまいそうだわ」
クスッと妖艶に剣崎の頬に手を滑らせて、勝ち誇った顔を浮かべた。
「──金輪際、わたしの愛しい片割れをいたぶるのは、もうやめてちょうだいね?」
「か、か、片割れ……?」
私は思わず声をあげていた。
片割れって、天と地の双璧の……?
私の声に気を失っていた涼太が目を覚ます。
「ユリ……さん?」
いてて……と、身体に手を当てた涼太。
「涼太くん、無茶はよくないわよ?」
私はふたりの顔を、いや……三人の顔を交互に見回した。



