「鬼ごっこは大勢の方が楽しいからね?」


剣崎が呼んだのかもしれない。

暴走族の鬼神の連中だろう。


そして、背後から聞こえてくる品のいい靴の音。


……あの人だ。



「まるで袋のネズミね」



予想通り、あの女の人──ユリと白坂くんが呼んでいたその人を筆頭に、数人の男が現れた。


男達は黒いスーツを着ている。



「──まだ地獄を見たい?」



腕を組んだ女の人が、私達を見下ろしている。

加勢されたら、私たちはもう逃げられない。

絶体絶命。



「挟み撃ちか? いい案だな。おい、生け捕りにして倉庫へ連れていけ」



剣崎の鶴の一声に、私は泣き崩れて震えた。



だけど──



「生け捕りにされるのはあんたよ、剣崎」