【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ



衣服は乱れ、土で汚れていた。



「なにやってんだよ、お前……」



俺が問いかけると、柳涼太は目を見開いてひどい呼吸を繰り返していた。



「……答えろ! お前、あの子と一緒じゃなかったのか!?」



魂が抜け落ちたみたいに、放心状態の柳涼太はぶるぶると震えていた。


唇が切れて、血が固まっている。



「おい! あの子はどうしたんだよ!?」


「……あ……っ、お……俺……俺……」



うわ言のように繰り返す柳涼太は、涙で顔をぐちゃぐちゃにしたまま膝から崩れ落ちた。



「………頼む……白坂……っ、助けてくれ!」



しがみついて泣きじゃくる柳は虫の息で、俺に懇願した。



「不良に絡まれて……俺……っ」



……不良だと?

心臓がキシキシと嫌な音を鳴らす。

脳裏に浮かぶのは剣崎の姿だった。