雅が喉が渇いたって言うから、近くの店まで冷たいもんでも買いに行こうとその場を離れた。
は? アイツ……?
その直後、神社の方から一目散に走って来るアイツの姿が飛び込んできた。
泣きじゃくって、死にそうなアイツがふらふらとこっちに走ってくる。
キミに告白でもして振られたか?
……にしては、瀕死すぎじゃない?
呑気にそんな都合のいいことを考えていたけど、肝心なキミの姿が見当たらない。
さっきまで、ヒマワリ柄の浴衣に身を包み、アイツの隣にいたキミの姿がどこにもなかった。
──なぜか、嫌な予感がした。
「……おいっ!」
俺の存在にも気づかないほどに無我夢中で走る柳涼太を捕まえた。
「……っ!」
足を止めた柳涼太の顔を近くで見ると、その顔が腫れていたことにようやく気づいた。
……血がついている。



