「凪も災難だな? 剣崎はただ手柄を挙げたいだけだってのに、巻き込まれちまってよ」
廃ビルで虫の息だった俺を雅が助けてくれたことを境に、コイツとはよく剣崎達を出し抜いた。
雅の過去にはあまり触れないが、当時の雅は道を踏み外せば暗殺者にでもなりそうな雰囲気を放っていた。
その雅が、夏祭りの今日、家の手伝いで店番をするから顔を出しに来いとか言う。
夏祭りなんて興味もなかった。
でも、キミが晴れを望んだ夏祭りだから、もしかしたらキミもいるんじゃないかって思った。
だから、この夜俺は赤森神社の夏祭りに来ていた。
店番をする強面の雅の姿があまりにも笑えて、ケラケラ笑っていたその時だった。



