【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ



初めてキミに接近したのは三年生になってからだった。


──夏休み。


庭に敷いたレジャーシートの上で、絵日記と色鉛筆を散らかしたままキミは昼寝をしていた。


絵日記には、ふたりの姿が描かれている。


麦わら帽子を日除けにして、無防備に眠るキミを見つけて、俺はプールの帰りにそっと覗き込んだ。


今、目を覚ましてくれたら、キミの声が聞けるのに。



「……おいっ! お前、何してるんだよ!」



そんな幼い俺の願いも虚しく、邪魔が入る。



「いっつもいっつも小夏のことじろじろ見やがって! 青い屋根の白坂って家の奴だろ! 俺は知ってるんだからなっ!」



硬そうな黒髪の下の眉を吊らして、腕組みをしたアイツは俺をまくし立てた。