「涼太ー! 今日は、何して遊ぶー? 鬼ごっこは嫌だからね!?」
「ははっ! 小夏は足が遅いからすぐ捕まるもんなー! そうだなー! じゃあ───」
ある日、不意にアイツが振り返った。
窓から見ていたことに気づいたんだと思う。
だから、最初に目が合ったのはキミじゃなくて、アイツだった。
ジッと俺を見るアイツ。
すぐにムッと唇を尖らせて、文句でも言いたそうに眉をひそめた。
なにあれ、怒ってんのか?
「涼太ー? どうしたの?」
「べっつにー! なぁ、小夏! 今日は俺ん家でゲームしよーぜ!」
「えー!? お天気いいのに!?」
「たまにはゲームしたいし! 二年生の国語ドリル終わらせて遊ぼーぜ! 早く行こう!」
キミの手を簡単に奪って、アイツは部屋の中へと駆け出した。
たぶんこの時、もう俺の中でお前はライバルだったんだと思う。



