俺だって自転車くらいもう乗れるよ。
なんて、いくら悪態ついても、キミには届かないんだけどね。
青い屋根の俺の家は、この近所の中じゃ割とデカいし目立つらしい。
料理好きの母さんがキミの母親とよく話し込んでいた。
けど、キミが気づいてくれることはなかったし、学校に行ってもキミはいない。
いつも、開け放った窓の向こうからキミの楽しげな声が聞こえるだけ。
キミの声に心が弾む。
でも、どれだけ見つめても、目さえ合わない。
「ふぅん。凪ってば片想い?」って、からかわれることはよくあった。
本当に、片想いってやつだろうな。
キミはいつも、隣のアイツしか見えてなかったから。



