* * *
この道路を挟んだ向こうには、いつだってキミがいた。
「俺がヒーローで、お前が悪者だ!」
そこには俺と同じくらいの子供が数人、毎日楽しそうに遊んでいた。
「ねぇねぇ涼太、私はー!?」
自分の家の前でヒーローだと名乗った男の子を、キミが「涼太」と呼んだのを知ったのは、その時だったかな。
「しょーがねーから、小夏はお姫様の役にしてやる!」
「やったぁ! お姫様! じゃあ、涼太が私を助けてくれるんだね!」
へぇ。
小夏……って言うんだ、あの女の子。
俺が初めてキミを見つけた時から、キミはお姫様だった。
短い髪をふたつに結んで、無邪気にはしゃぎ回るキミが眩しくて、素直に可愛いなって思ったのを覚えてる。



