逃げ出したいくらい怖くてたまらない。

だけど、涼太を置いて逃げることなんて出来るわけがない。



「いいんだ、小夏………お前は逃げて、いいんだよ……」



指先まで震えた涼太が無理に笑って掠れた声を出す。


私は無意識に剣崎に飛びかかった。



「お願いだから、もうやめてください……」



こんな震えた手じゃ、なおさら剣崎の力には歯が立たない。


ドンッ!と無言で突き飛ばされた拍子に、ヒマワリの髪飾りが外れた。



「さぁ、涼太くん。口がきけるうちに本当のことを話してあげな?」



剣崎はにんまりと唇を歪ませると、髪飾りを踏みにじった。