途端に不安に駆られた私は急いで前へ進む。
人混みをかきわけて走ると、その先には神社の鳥居が見えてきた。
……よし、ここで止まろう。
闇雲に探し回るより、連絡したほうが絶対にいい。
境内の近くのベンチに座り、スマホを取り出して白坂くんにメッセージを送ろうとしたその時だった。
「きゃあ……っ、!?」
突然、肩を掴まれて、心臓が飛び出しそうになった。
「お前なんでここにいんだよ!?」
「えっ、涼太………?」
強引に振り向かされた先には涼太がいて、険しい表情をしていた。
「………白坂は、どこだ?」
間髪入れずに質問してくる涼太に、私は声を詰まらせた。
「そ、それが、たった今はぐれちゃって……」
「バカ! こんなとこで、ひとりになるな!」
静かな夜に涼太の声が響き渡る。
顔は汗まみれで、呼吸も荒くて、異常に取り乱している。
まるで何かに追われて走ってきたみたいに。



