【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ



嬉しくて、ドキドキと心臓が早鐘を鳴らした。


歩く度に揺れる白坂くんのミルクティー色の髪を見つめながら歩いていたその時。


………涼太?


トウモロコシの屋台の向こうに涼太がいる。


だけど、さっきまでいたはずの若宮さんの姿はどこにもない。


血相を変えた涼太の顔が、心なしか強ばっているように見えた。


もしかしたら、若宮さんとはぐれて探してるのかもしれない。



───ドンッ!


よそ見をしていたせいで、私は誰かにぶつかる。

するりと、白坂くんの手が離れる。



「痛っ……す、すみません!」


私は慌てて顔を上げた。

そして白坂くんを探して目を走らせる。



「……ごめんね白坂くん、よそ見しちゃ──」



あれ?

ほんの一瞬で、私の視界は人の波で埋め尽くされていた。


嘘……白坂くんと、はぐれた……?