「あの剣崎が……私のことを覚えてた……白坂くんのことを探してる剣崎が……っ」
こんな偶然があるのかと疑問さえ抱いた。
今夜だけは何もかも忘れたかった。
なのに、本当は怖くて堪らない。
「大丈夫だよ水瀬」
ポンッと私の頭に手を乗せた白坂くんが、穏やかな口調で言った。
「──今日で全部が終わる」
確信したように意志のこもった眼差しを送ってくる。
白坂くんは私の心を見透かしたみたいに「大丈夫だよ」と、もう一度囁く。
「死んでも守ってやるから」
「……っ、」
ギュッと握り返された手は温かくて、泣きそうになった。
「そんなありきたりな台詞じゃ水瀬には響かない? 俺はかなり本気だけどね」
私の恐怖心を少しでも鎮めようとしてくれているのか、白坂くんがクスッと笑う。



