【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ



「ほら」

「えぇ? ちょっ……」

「早く口開けなよ」


薄ピンク色のふわふわしたわたあめをひと口ちぎって私の口に運んでくる。



「甘……」


ぱくり、と口に入れると、お砂糖の味が広がる。



「水瀬も俺に食わせてよ?」


ふわりと溶ける白坂くんの甘い笑みに、胸がキューと音をたてた。



「もうっ! 自分でどうぞ……っ」


いつも食べさせてって言うんだから。


一等星が光る夏空の下、私達は屋台を回って歩いた。



「デートかよ、凪」



不意に声をかけられて振り向くと、そこには鷹村ベーカリーと書かれたのぼりがあった。



「……えぇっ!? 鷹村くん!?」


「おっす。水瀬も久しぶりじゃん」


鷹村くんは日焼けした肌から白い歯を覗かせた。