「あ、そうだ……! 私、行きたいとこあるんだった!」
そうだよそうだよ、夏休みにやりたいことを見つけたんだもん!
言いつけを守って部屋にいたけど、白坂くんが一緒ならいいよね……?
「どこ? あんまり遠い場所は許可してあげらんないけど」
「ううん! 遠くないよ? 本屋さんなの」
「駅前の?」
私がコクコクと頷いてみせると、白坂くんが「いいよ」と、クスッと笑った。
本屋さんに着くまでの間、白坂くんはやたら周囲を警戒していた。
その用心深さは関心するけど、黒いパーカーにキャップの男女ふたりがコソコソしてる方が目立つんじゃ……。
なんて心配をしてるうちに本屋さんまで無事に辿り着いた。
「参考書でも買うの?」
「ううん……実は……」
涼しい店内でお目手当のカテゴリーを探す。
あった!



