「……えっ、なにこれ?」
そばまで来ると、手に持っていた黒いキャップを私の頭に乗せる。
ちょっと大きめサイズ。
「万が一に備えてだよ」
「え? 万が一って、どういうこと?」
白坂くんに被せられたキャップを指で押し上げて、視界を広くした。
「水瀬もずっと家にいるでしょ? どっか行く?」
気分転換だよ、と言った白坂くんがすでに私の手を引いている。
遠慮なく触れるところ、嫌じゃない……かも。
「どこ行くの……? てか、いいの? 剣崎とかが見てるかもしれないのに……」
「だから俺がいるんでしょ? いつまでも籠の鳥にしておくわけにもいかないからな」
籠の鳥って、まさか私のこと!?
これじゃ白坂くんがボディガードみたいじゃん。



