「俺のものってわからせたくなるよね」
白坂くんに見つめられて、甘い痺れが走る。
「………誰に?」
「さぁ?」
おどけてみせると、わざとらしく私の頬に音をたててキスをした。
「っ、」
「本当なら、もっと早く俺のものにしたのに」
悩ましげな声が鼓膜をくすぐる。
「もっと、早く……?」
「そう。本当は出逢えてたはずなんだよ、バカ……」
意味深な台詞。
真意を知りたくても思考が溶けそうになって、何も考えられなくなる。
白坂くんの長い指が、私の首筋をそっとなぞる。
その唇で優しく触れて、顔を埋めると、今までで一番長いキスをした。
朝、目を覚まして鏡を見ると、鎖骨の少し上に赤い痕が残っていた。
すやすや寝ている澪ちゃんが起きる前に、慌ててジャージに着替えて隠すのが必死だったんだ。



