「怖かったね……」


私は力なく垂れ下がった涼太の手に、自分の手を重ねた。



「……ごめん。小夏……ごめんな」



泣いたのか、叫びすぎたのか、涼太の声が掠れている。


ギュッと握った涼太の手。

その手を握り返してくれることはなかった。


涼太はずっと顔をぐちゃぐちゃにして泣きながら私に謝り続けていた。



「涼太は、悪くないよ………」



私が気を失っている間、騒ぎに気づいた人々が集まり、男達は逃走したらしい。



「………花火、見たかったね」


今年は雨も降っていなかった。

来年は可愛い彼女と一緒に見ているかもしれないけど、今年は……最後なら、私は涼太と一緒に見たかった。


それを涼太に伝えることはなかったけど、本当に思っていたんだよ。



「………ごめん、ごめんな」


まるで私に許されることを待っているかのように謝り続けている涼太の手は、いつまでも震えていた。