「前を見て歩けって、ガキの頃教わらなかったか? あぁ、まだクソガキだったな?」
青いメッシュの男が後ろから涼太の襟を掴みあげ、乱暴に引っ張った。
「うあっ……っ!!」
襟が食い込んで、首が締まった涼太が声にならない声をあげた。
「涼太………っ!!」
視界の隅で涼太が消えた。
私は慌ててベンチから身体を起こした。
「何してくれてんだよ? テメェ、誰にぶつかったかわかってんのか?」
パンッ!と頬を張られた音が響いた。
重苦しい身体を引きずって急いで涼太の元へと駆け寄った。
「……す、すみません……わざとじゃ──っ!」
怯えた涼太を地面に倒した男が再び平手打ちする。
なんてことをするの、この人は……。
人気のないこの場に響いたその音は、まるで容赦がなかった。
「すみません? ねぇねぇねぇ、お前まさかそれで済むと思ってるのか!?」
ジタバタ手足を動かす涼太の上に、青いメッシュの男がのしかかる。



