【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ



「はしゃぎすぎたかな……頭がくらくらする……」


「おい……小夏、マジで大丈夫か? なんならもう帰ろうぜ?」


「ううん……花火まで、もうすぐでしょ? あれ、見たいから」



肝心な時に雨女なのか、花火はまだ一度も見たことがない。


今年は晴れているし、今のところ雨で見れないこともなさそうだから。



「確か打ち上げが9時だったな。あと30分はあるか……」



スマホで時間を確認した涼太は、何か思いついたように「よし」と立ち上がった。



「俺、なんか冷たいもん買ってくるわ! 小夏、何がいい?」


「………じゃあ、かき氷。イチゴの」


「まかせろ!」


ニッと笑って、勢いよく走り出した涼太の背中を見つめていた。


あとから知ったことだったけど、この時私は、軽い熱中症を引き起こしていたらしい。