【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ



「大丈夫かよ?」


涼太が心配そうに足を止めた。


顔も頭も熱くて、熱でも出そうな感じ。



「……ちょっと、暑くて」

「ったく、しょーがねぇな……。休むか」

「うん……」


広い境内を出たところにあるベンチで休むことになった。

ここなら人もまばらで少しは静かだ。

夜風に乗ってどこからか聞こえる鈴の音が心地好くて、気持ちいい。



「暑さにやられたんだろーな。 浴衣じゃなくて、もっと涼しい格好にすればよかったんだよ……」


「いいじゃん。私だって女子だもん……浴衣とか、少し憧れてたし……」


「………まあ、たまには、そういうのも悪くはねぇけど」



隣に腰掛けた涼太が、私の浴衣を見てぷいっと目を伏せた。


涼太が悪くないとかそんなことを言ったのにはちょっとビックリ。


休めばまたお祭りを楽しめると思っていたけど、頭の中がぐるぐるして気持ち悪い。