「わぁっ! 今年もすごい人だね!」
会場の入口付近さえ、すでに大勢の人達で賑わっていて熱気がすごい。
「お、おう。つーかお前、そんなんで、歩けんのかよ……」
「へ?」
早速ワクワクしながら会場内へ入ろうとしたら、涼太が私の足元を指さした。
「あ、下駄のこと?」
「ん。そうだよ」
「大丈夫だよ! てか……私が初めて浴衣着たのに、他に言うことないの!?」
今年は最後かもしれないから着ていきなさいよ、とお母さんがわざわざ出してくれた浴衣だ。
夏らしいヒマワリ柄の白い浴衣に、初めて袖を通した。
「……まぁ、少しはマシなんじゃねぇの?」
「マシって……もうっ。涼太ってば他に言い方があるでしょう!?」
いっつも憎まれ口ばっかりなんだから!



