「そうだ。北区で今年も夏祭りがあるでしょう? くるみも涼太くんと行きたいの! だから、今年は譲ってね?」



上目遣いでお願いされた。

私は涼太と約束なんかしていないから、そんな可愛い顔をしなくても大丈夫だよ。



「涼太とは、行かないよ」


「よかったぁ。じゃあ、くるみから誘っちゃおーかなぁ」



私のことをキラキラしてるって言ったけど、若宮さんの方がやっぱり眩しいよ。


こんなに可愛いんだもん。

それは、若宮さんの努力の証だからだ。



……ダメだよ、涼太。

こんなにあんたのこと思ってくれる女の子がいるのに、このままはダメだ。


それは自分自身にも言い聞かせたことだった。


……白坂くんだけじゃない。


あれだけ一緒に過ごしてきた腐れ縁でも、私の知らない涼太がどこかにいるのだ。


だから私は、涼太と向き合うことにした。