「きっと彼も、たくさん悩んだんだよね……」
「いや、普通に二股かけられてたんだけどね!」
「……はぁー!? 二股!? 澪ちゃんのことも将来のことも考えての別れじゃなかったってこと!?」
最低だ! ひどい! 前言撤回だ!
白坂くんの言葉を借りれば情けは無用だ!
弾けるように澪ちゃんを見ると、「ホント最低」と、吹っ切れたようにクスクス笑った。
「男ってズルいなって思った。でも、彼の優しさに甘えてたわたしもズルいから、お互い様……かな?」
「そっか……。前に澪ちゃん言ってたよね? 男なんて懲り懲りって……」
「そうね。だけど、鷹村から声をかけられるようになって、一緒にパン食べながらこの話をしたことがあるんだけど」
──“そんな男捨てて良かったんだよ。だから後ろめたい顔はやめろ。それが園田のいいとこじゃねえか”
「──って、鷹村はそれがなんだって言うんだよって笑い飛ばしてくれてさ……」
鷹村くんのことだから元彼が再び現れたら空まで吹っ飛ばしそうだ……。



