【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ



「だと思った。だから俺が連れてくよ」


青い空に溶ける夏の雲みたいに、白坂くんは淡く微笑んだ。

その笑みに、胸が甘く締め付けられる。

今が登山の途中で良かった。


草木が風に吹かれる音とか、鳥のさえずりが響いているから、私の鼓動の音は白坂くんには聞こえないと思うから。



「でも、晴れるかな?この前話したでしょ? 私……大事な日は雨女だから」


「晴れるよ」


間髪入れずに白坂くんが言い切った。

迷いも躊躇いもなく。

だから私も、夏祭り当日は晴れるんじゃないかって気がしてくる。

その自信がどこからくるのか知らないけど、今日だって本当に晴れた。



花火……白坂くんと見れるといいな。


もしもこの想いを伝えられずに夏休みが終わったら、いちクラスメイトのひとりに戻ってしまうかもしれないから。


同時に、夏が終わっても、白坂くんの隣にいたいと思っている自分の気持ちに、確かに気づいた。