【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ



「……うん。小学生の時から開催されるようになったから」



白坂くんから涼太の話が出てきた。

……私はあえてそこには触れない。


本当に、なんだって私のことを知っている白坂くんに疑問が浮かんだけど、去年の出来事が頭を過ぎって、視界がぐにゃりと揺れた。


思い出すことさえ苦痛だからずっと蓋をしているのに、過去はこうして、いつでも顔を出してくる。



「もし行くなら、今年は俺とじゃないとダメだから」


「でも……夏祭りなんか行って、見つかったら危ないんじゃないかな?」


「水瀬は行きたいんじゃないの? 夏祭りの終わりに花火があがるでしょ?」


「う、うん。本当は行きたい……実はあの花火、まだ一度も見たことないから」



白坂くんにはなんだって見透かされてるみたい。


花火を毎年楽しみにしていたのに、生憎の雨で、いつもガッカリして帰ってきたのを覚えてる。