【完】白坂くんの溺愛は危ないことだらけ



「で、でも……それも、夏休みが終わるまでだから……」



さりげなく距離をとっても、鼓動は全然落ち着かない。



「へぇ。夏休みが終わったら俺のこと捨てんの? なかなか悪女だなお前」



目を細くして、意地悪な笑顔を見せる。



「違……っ、てか、白坂くんが言ったくせに! 夏休みが終わるまでって!」



期間限定の条件を突きつけてきたのは私じゃないのに!


心の中で悪態つきながら、それが寂しいって思ってるなんて……とてと口に出来ない。


ただのクラスメイトに戻っちゃったら、脇役である私には手の届かない主役級の白坂くんには、近づけない気がした。



「……そもそも、なんで夏休みが終わるまでなの?」



揺れる心を隠すように私は問いかける。



「夏祭りがあるからだよ」


「えっ、夏祭り?」


「そう。北区の夏祭り。毎年、涼太くんと行ってたろ」



白坂くん、そんなことまで知ってるの!?