「そういえば、白坂くんの片割れの人は見つからないの……? 強いって聞いたから、救世主になってくれそうなのに」
「アイツはある意味強いけど、救世主とか勘弁してよ」
思いがけない反応に、私は白坂くんの目を覗き込んだ。
「どうして!? 守ってくれるかもしれないのに!」
どこにいるのか知らないけど、白坂くんがピンチなんだから助けに来て欲しいよ!
「なにいってんの?」
「……な、なにって」
「俺が守りたいのは水瀬だけだ。自分のことなんかどうだっていい」
それくらいわかれよ、と言いながら私の汗を自分のタオルで拭いてくれる。
……ドキリッと、胸の奥が揺れる。
流れるような白坂くんの仕草に吸い込まれそうになった。
迷いも遠慮もなく白坂くんは私に寄り添う。
一気に縮んだ距離に、鼓動が一際大きく反応した。



