「知り合いってわけじゃないわ。わたしが鷹村ベーカリーの常連だっただけ! その時、白坂を何度か見かけたのよ」
「もしかして澪ちゃん……それで惨劇を招く夜鷹って、白坂くんのことだと思ってたの!?」
「っ、だって……いつもパン屋の前で見る度に傷だらけなのよ!? しかも顔つきだってクラスメイトの白坂とは全然違ったんだから!」
その豹変ぶりは、私も最初の夜に見てしまったからわかる気がする。
中学の時の白坂くんを私は知らないけど。
「とにかく、夏休みが終わるまで彼女仮なんて、そんなのすぐにでも解約しなさいよ! もちろん解約手数料はなしよ!」
「スマホの解約みたいに言わないでよ……」
「小夏だって、鷹村から聞いたでしょう? アイツらは蛇のように執念深いって。だからわたしは小夏が心配なの!」
その気持ちはすごく嬉しい。
それでも今さら自分の気持ちまで誤魔化せないところまできているのだ。
「……澪ちゃんこそ、鷹村くんとはどうなったの!?」
誤魔化すように逆に質問すると、水筒のお茶を飲んでいた澪ちゃんがむせそうになった。
わかりやすい……。