「ほら! 言った通り、白坂のせいで小夏までヤバいことに巻き込まれてるじゃない!」



澪ちゃんは首にタオルを巻いていても、その美貌は健在だ。


そんなことを思っていたら「聞いてるの!?」と眉を寄せられた。



「……聞いてるよ!? でもね澪ちゃん! 白坂くんが悪いことしたわけじゃないんだよ?」



喧嘩を吹っかけたとは言ってたけど、あそこまで執拗に追い回す方が悪いと思う。

それも、年下相手に。



「そうかもしれないけど、かなり有名な片割れであることに変わりないでしょうが!」



足場の悪いところを避けながら澪ちゃんが言った。



「そうだけどさ……それより、澪ちゃんは白坂くんが片割れっていつから知ってたの? 見たことある気がするって言ってたよね!?」


「あー、それは中学の時、鷹村が一緒にいる傷だらけの男が白坂だったからよ! 最初はピンと来なかったけど」


「え……ってことは、鷹村くんと澪ちゃんって、高校に入る前から知り合いだったの!?」



大きな岩に腰掛けた澪ちゃんが水筒を取り出した。


私もその隣に座って汗を拭う。