それは触れるだけの優しいキス。
体温は一気に上昇して、ドキドキと鼓動は加速を増した。
キスの時は目を閉じるんだって……と、そんなこと誰かが言っていたなって思いながら、私は白坂くんのキスを受け入れた。
「……水瀬、可愛い」
伏し目がちな表情で白坂くんが私を見る。
だけどすぐに再び唇を重ねてくる。
今度はさっきよりも長いキスに、頭がくらくらしそうだった……。
涼太とはキスしたいって思わなかった。
ドキドキしたり焼けるくらい顔が熱くなることもない。
──白坂くんを知りたい。
もっと、どんな白坂くんも知りたくて、一日が待ち遠しくて、オシャレなんかに気を遣って、少し期待して……。
今までじゃ考えられない自分の変化にちょっと驚いて。
だけど、もうこの時点で、私は完全に白坂くんに落ちてるんだと思う。
名前さえ知らなかったこの感情は、恋だ。
危ないってわかってても、私はこの人が好きだ。
白坂くんを彩るすべてに、私は反応する。