「な、なにそれ……嫌だよ……巻き込んだんだから、責任とってくれないとやだからね。私、白坂くんが……どうして私のこと好きなのか……それを知るまで、引くつもりはないよ!」
白坂くんが驚いて目を大きくした。
──私が知らない白坂くんを、教えてよ。
白坂くんだけが私のことを知っているなんて、そんなのズルい。
私自身、あんなに(仮)だと強く主張していたのに、それだけじゃもう嫌だ。
白坂くんの放つ空気に私はいつの間にか吸い寄せられている。
諦めがつかなくなってるのは、私の方かもしれない。
「……強い女」
口角を上げた白坂くんが、息を吐くように笑った。
「……っ、あ、あの剣崎って人は怖かったけど、これでも私、鬼ごっこには慣れてて……」
子供の頃、日が暮れるまで涼太や近所の子達と駆け回っていた。
鬼ごっことは比じゃないことはわかっているけど、怖くても、白坂くんと一緒なら逃げてみせるよ。
そもそも、危ない目にあわせる剣崎達が悪いんだから、私や白坂くんがそれに屈する理由なんてない。
………怖いけど。



