白坂くんが真っ直ぐに私を見つめてくる。
胸が高鳴って、膝に置いた手をキュッと握った。
「嫌いになんて、ならないよ……っ」
それは逆だよ白坂くん。
私を守ろうとしてくれる白坂くんを嫌いになるわけがない。
すると白坂くんが思い詰めたように口を開いた。
「アイツは……剣崎は、雅が言った通り蛇のように執念深い男だ。メンツのためならたとえ年下だろうと女だろうと、一切容赦はしない」
剣崎の楽しむかのような声が耳元で再生されて、身体が勝手に力んだ。
「それでも俺は」
白坂くんが切なげに私を視界に入れる。
「──お前だけは守るよ」
視線がぶつかって数秒、白坂くんの手が私へと伸びて、くしゃりと髪を撫でてくる。
小さな子供をなだめるみたいに何度も撫でるその手はとても温かい。
……それなのに、白坂くんを見つめ返していたら、なぜだか泣きたくなった。
「それとも、俺が原因で水瀬を巻き込むから、お前を諦めた方がいいのか?」
自分に問うように、白坂くんが自嘲の笑みを零した。



